『クロード・岡本』(みすず書房)より
クロード・岡本
1946年8月、パリ市14区にて生まれる。
1949年、2歳8ヶ月、初めて絵を描く。
1950年、『みずゑ』9月号にて初めて紹介される。
1951年、パリにて初個展。
1952年、東京にて展覧会。
1953年、パリにて第2回個展。
1954年、パリ出発、神戸着。
東京ピカデリー劇場壁画(250号)制作。
初画集出版。
以降、毎年個展開催。
装画、挿し絵など、図案の分野でも活躍。
1963年、絵本『てじなしとこねこ』(こどものとも・福音館)発表。
1966年頃、ビートルズ日本編集盤のジャケットを手がけるも、発売中止に。
ジャケットは現存せず(四羽のひよこ)。
元絵の詳細も不明。
以降、詳細不明。
クロード・岡本は、描くことをやめてしまったのだろうか。
「少年画家」は天才でなくてはならない。
天才は早熟であり、熟した実は落ちやすく。
『てじなしとこねこ』(こどものとも89号・福音館)
「てじなしとこねこ」。
この素敵な絵を、どんなベテラン画家が描いたのだろう、と思っていた。
この絵本の作者、クロード・岡本の絵を沢山見たいと思った。
線と色とに心を動かされた。
心を鼓舞し、洗練をもたらしてくれた。
そして、あたたかい絵だった。
調べてみると、なんと、少年の描いた絵だった。
しかし、手に入れた二冊の画集と、『てじなしとこねこ』の他は、なんの手がかりもない。
収蔵している美術館はあるだろうか。
ピカデリー劇場の壁画は現存するのか。
そして、今も描いているのか。
当時は個展も盛んにやって、絵も沢山売れたろうから、今でもどこかのお屋敷やレストランなどの壁で、忘れられながらも静かに息づいているかも知れない。
絵も年をとったろうか。
クロード・岡本の絵。
子供の絵。
よく見て描いた絵。
おしゃれな坊やの絵。
一瞬の異彩を放った、幸せな絵。
まだ見ぬ彼の絵に、少しずつ出会っていけたら。
左『クロード・岡本 少年のえ』 王様芸術部 1954
右『クロード・岡本』 みすず書房 1959
(2010年執筆記事)
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