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執筆者の写真higouti

カムチャツカのヒグマ


『ナショナルジオグラフィック』のバックナンバー(2006.2)にカムチャツカのヒグマの記事が載っていたので古本で買う。

いい写真が載っている。


カムチャツカは星野道夫さんが亡くなったところ。 それは半島のいちばん南の先っぽにあるクリル湖でのこと。


この号に載っているのは、そこから北東の沿岸部、クロノツキー生物圏保護区のブラウンベア。 そこではこの10年間で2万頭いたヒグマが1万2500頭まで減ったという(2006年当時)。


それは許可を得た外国人ハンターによる趣味のトロフィーハンティング、そして不法な狩猟が主な原因とされる。 殺された熊の数は、許可を得た猟では年間500頭まで。

密猟ではそれを上回る数が上乗せされる。

「密猟」のなかには、サケの密漁者によるヒグマ狩りも入る。 サケの密漁者がヒグマを狩るのは、ヒグマが密漁の網を食い破るからだ。


「ヒグマにかかわる人間は多い。狩猟ガイドにとっては収入源だし、研究者にとってはロシアの原生自然の象徴だ。サケの密猟者にとっては競争相手であり、トナカイを飼う遊牧民にとっては賢く強い隣人である。」




先住民、遊牧民たちはむやみにヒグマを狩ったりしないという。 年に1〜2頭、自家消費のために捕る。 そして死んだヒグマを弔い、祈りを捧げる。

しかし野生生物管理当局は、遊牧民たちをことあるごとに避難するという。 ヒグマやその他の野生生前を違法に捕っていると。

それを読んですぐに、アイヌの儀式における鮭漁に対し、無許可の漁だとして書類送検まで行った、という数年前の出来事を思い出した。


熊を「ロシアの象徴」、「偉大な隣人」として捉え、畏れ、崇める遊牧民の猟と、許可を得たトロフィーハンティング。 その意味を考えている。


「ハンターがライフル銃を手に、仕留めたヒグマと記念写真を撮っていた。ハンターは倒れたヒグマのそばでサングラスをいじっていた。彼の関心事は、サングラスをかけるのと外すのと、どちらの写真うつりがいいか、ただそれだけだ。ヒグマの目は閉じられている。この野生の王国の支配者が、長く待ち望んでいた暖かな春の日差しに寝そべり、まどろんでいるかのように…」


「カムチャツカの人々がこれからヒグマとどう付き合うかにかかっている。遊牧民や、狩猟生活を送る先住民だけではない。狩猟ツアーに来る客や密漁者、ヒグマを守ろうと奮闘する研究者。すべての人の手に、ヒグマの将来は委ねられている。」


そう。 日本人だって、たとえば野にごみなんか捨ててちゃいけない。 ごみをどう捨てるか、それも委ねられていることのひとつだなあと。



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