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  • 執筆者の写真higouti

NHK字幕問題

更新日:2022年1月23日



ここ数日、考えないようにしてもつい考えてしまう。 いかん。 NHK字幕問題について。 ぼくが口を挟む問題ではない。 が、モヤモヤしている。 このままではいい方向にいかないのではないか。 かと言って、どの方向がよかったのか。 ぼくは東海テレビのドキュメンタリーのファンなのだけど、なかでも『さよならテレビ』はマスコミ、ジャーナリズムの有り様、ドキュメンタリーの作られ方、現場の不祥事を取り囲む姿勢について大いに考えさせられたし、何よりノンフィクションなんだけどエンタメ性もあって、実におもしろかった。 フィクションとノンフィクション。 実はその境界は、作る人によっては曖昧なものだし、敢えて超えたり戻ったりするもんなんだろうなあと。 五輪記録映画自体が、作者の意図としてあるもの=物語・神話・伝説・美しい国・青丹よし…なんでもいいんだけど、そういう「想い」を通した、半ば「フィクション」として描かれること自体は間違っていない…のでしょう。

あの記録映画が監督のいう「創作」ならば。

間違ってはいないんだろうけど、そのあらわれとして、五輪開催に反対する人たちを「影」として捉え、自分の圏内、離れたところから(高い目線から)「現象」として捉えるというのは、やはり今回の字幕問題をもはらんでいたんじゃなかろうか。 だって島田はそれを危惧していたんでしょ? それがなんであんなことに。 やっぱり、蒸し返しで揚げ足取りになるけど、監督の発言で「私たちが招致した」とか「(五輪を応援するのが)人間として当たり前」って、自分のサークルやパーティーのなかでならいいんだろうけど、国をあげてやる事業でのそれは、ちょっと浅はかで軽く見すぎてるような気がするのだ。 反対運動に直接参加しなかったぼくでさえ傷ついたよ。 で、NHKはいかんでしょ。 本当にだめ。というか嫌。 あとからあとから… 是枝裕和監督が「BPO在籍時に学んだこと」として「虚偽の放送をした場合に速やかにやるべきこと4項目」をツイートしていたけど、なるほどって思った。 いま、それが疎かになっている状態。 ここまできたら、あの字幕の件はなんだったのか、そこはちゃんと知りたいなあ。 30年前、ぼくは卒業制作に島田に出演してもらった。 それがあろうことか街頭インタビュアーの役だった。 笑えないよ。 真冬に寝汗かく思いがする。 それにしても話がでかすぎるなあ。 みんな偉くなっちゃった。 今回の件もそうだけど、でかすぎると、やはりついていけない部分がたくさんある。


higouti 補足:1

もう一度確認のため、あの番組が一本丸ごと動画サイトに上がっているものを見た。(違法アップロードかも知れんが許して)

現在SNSで騒がれているような、島田側が捏造したというようなものは、ぼくには見えなかった。 あのインタビューを受ける人物を島田がどういう意図で取材したのかは分からない。とにかく、いろいろな立場の、いろいろな人の中のひとりとして出てくるに過ぎない。

西成を愛する島田的には「山谷のおじさん」に話を聞くのも必須だったんだろう。

おじさんはデモ(非五輪)にも頼まれて参加したこともあるということから、そこをちょっと語ってもらった、という感じか。

とにかく素材のひとつ。それは前後を見ればよく分かると思う。

単に素材のひとつなんだから、おじさんはデモに参加したと嘘を言ってるかも知れないし、曖昧だなあと思ったら再度確認取るなりそれは映画本編では使わなければいいだけで、あとのこと。

ただ、ここにNHKのスタッフが付いてきていた。

島田にとっては「素材」に過ぎなくても、NHKではそうはならなかった。 そのシーンに「反五輪デモ」に絡ませて、「金をもらっている」としたのは、やはり完全にNHK側の独断だと思う。 言われている島田の「ビール」。

これはなかなかの偶然が引き合わせたものでは、と思う。 確かに渡したのかも知れない、謝礼として。 直後のカットに、島田がぶら下げたコンビニ袋に同じビールがあるところから、おじさんから回収したという意見もあったが、よく見ると3本入っている。

これはやはりカメラの前で喋ってくれた人への謝礼用だと思う。

山谷を取材して、その謝礼がビールというのは、ざっくばらんで細やかな島田らしいと思う。 銘柄がスポンサー外のものだという意見については、これは分からない。

偶然の線も大いにあると思う。

それから、島田の「プロの反対派もいてるし」発言。

これは単なる勉強不足、認識不足だと思う。

深い意味はないように思う。 なので、今回の件に関しては、島田には落ち度はない、とぼくは感じた。 もちろん「プロの反対派」発言はまずかった。

それは今後勉強して、傷ついた人へはちゃんと謝るべきだと思う。 では、NHKはなぜそれをやったか。 島田がおじさんに話を聞いているとき、NHKはすぐ後ろでその二人を撮っている。 そして、おじさんの話に、島田同様相槌を打っているように聞こえる。 ということは、おじさんが何を喋っていたのか、NHKは分かっているはず。 その上で、あのような編集、字幕を入れたと思われる。

入れた理由は、まず、NHKの方針(五輪推進)として。 河瀬監督への勝手な忖度。 その2点。 いずれにせよ、河瀬監督とNHKとの間に「五輪に反対する声」への共通認識というか、困ったものという空気があったんだと思う。 番組ディレクターはスポーツ部門の人間とのこと。 どこまで河瀬監督と番組ディレクターとのあいだで話し合いなり行われているのかは分からないが、ディレクターは社会運動に対して、やはり「無知」で「未熟」だったんだろう。 河瀬監督にもそういう部分があった。

だからそのパートを島田に任せた。

島田にしても社会運動の細部までは不勉強だった。 やはりNHKは悪い。 チェック機能がどうたら言ってるけど、社をあげてそんな方針なんだから、チェックしても駄目だったろう。 だってNHKはこの2年くらい反五輪の声に関してちゃんと伝えてこなかったじゃないか。 だから、その部分では最初から駄目なんだ。 あと、ぼくはやっぱりIOCやらバッハは好かん。 福島はアンダーコントロールもされていないのにそれを材料に為政者が招致したんだから、そのことでこの7年を喜んだ覚えもない。 「コンパクト五輪」も嘘だった。 だから今後もそっち側の目線に重点を置いて描かれるなら、記録映画はやっぱり見たくはない。



補足2:

・NHKクルーがつくことで、河瀬組にとっては単なる「素材集め」の様子も、NHKの「素材」になってしまうということ。

・NHKクルーがつくことで、河瀬組が集めた「素材」も、知らない間にNHKとの「共有素材」になってしまうこと。

・そもそも河瀬監督の映画制作意図が五輪への推進にあり、作者の視線が親和性のあるものへのみ注がれていたこと。

・そのため、親和性のないものへの取材を放棄し、島田監督に任せてしまったこと。

・番組構成に河瀬監督への忖度があったこと。

・NHK社内に反五輪への冷ややかな目があったこと。

・「河瀬直美」という名を冠した、かつ、河瀬組の集めた素材を大量に提供した番組であるにもかかわらず、「被取材者」として対応してしまったこと(番組チェックを怠った)。


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