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執筆者の写真higouti

飼育員さん



年始に起きたトラの事故は痛ましくてやりきれなかった。

トラの写真を見るのも辛かった。


動物園の飼育員さんは今日も一生懸命働いている。

事故のないよう、動物たちが安気に暮らせるよう、世話をする。

大変なことだ。

動物たちには盆も正月もない、とは寅さんでの満男のセリフだったが(ジュリーが飼育員役だった)、その通りだ。


ぼくは井の頭の象のはな子が好きだった。

上京してから、何もすることがない日はよく井の頭公園に出かけた。

動物園の玄関前にはアコーディオン弾きのお姉さんがいた。

ぼくは花壇に腰掛けてアコーディオンを聴き、お金があるときは投げ銭をし、動物園に入った。


少し遅い時間に行くと、もうはな子はゾウ舎のなかに入り、飼育員さんからバナナをもらっている。

そんな場面を太い柵越しに何度か見た。


飼育員さんは食事の済んだはな子の鼻を抱いて、しばらくじってしていた。

はな子もじっとしている。

長年のきずなというか、かよい合うものがあったのだろうか。


世界中に動物園があって、広大な動物園や、私設の小さな動物園。

そのすべての動物に安気に暮らしてほしい。

それを支えている飼育員さんを尊敬する。

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