higouti
やあ暗闇君、ぼくの古い友達

中学生の頃のぼくの楽しみは、夜、閉めたあとの実家の喫茶店で音楽を聴くことだった。
ポメラニアンのシイも一緒だった。
店には「有線」が引かれていた。
リクエストの電話をかけてお願いすると、3曲目あたりにかけてくれる。
それをラジカセに録音して繰り返し聴いた。
(ちょさくけんてきにはいけないことだけど)
そうやって夜遅くまでいろいろな音楽を聴いた。
有線のスピーカーはマンガや雑誌の大きな本棚の上にあり、そこにラジカセを置いて、椅子に上がってRECボタンを押す。
曲が終わりそうになると、また椅子に上がって停止ボタンを押した。
時々ポメラニアンのシイが吠え、録音に入ってしまう。
リクエストし直すのも面倒だからそのまま聴いていた。
だからサイモン&ガーファンクルの"Sound Of Silence"のある箇所になると、いまだに頭のなかでシイの吠える声が再生される。
"やあ暗闇君、ぼくの古い友達
また君と話しにきたよ"
(サイモンアンドガーファンクルと言わずにサイモンとガーファンクルって言っていた)